アイドル嵐の「心拍数」をエンターテイメントにする力
THE DIGITALIANコンサートもオーラスが終わり、ネタバレ記事も出てきてるので私もこのコンサートについて語りたくなった。とはいっても現場には行ってないから体験もしてなくて、ツイッターやブログなどのレポ越しに知ったことから想像を膨らませただけです。それでも今回の演出にすごく私はときめいて、この衝撃を書かずにはいられないと思った。
嵐のコンサートは最後部の席でも楽しめることで有名ではあったけど、今回はアルバムのテーマであるデジタル要素を加えることで更におもしろい構成となっている。
ジャニーズのコンサートでは通常ペンライトとうちわが公式発売され、それをファンが持って楽しむのがお約束になっている。けれど今回嵐は「ファンライト」と呼ばれるうちわ型のライトをグッズに投入してきた。このファンライトは遠隔操作で色を制御できるようになっており、嵐側がファンのライトの色を変えることで観客数万人との一体感を演出している。*1
しかしこれはシステムで常に制御をしてるわけではなく、曲によって客が自ら色を変えられるようにも出来ているので、自分でファンライトを持つ楽しみも残している。たとえばメンバーのソロだとファンは応援するためにメンバーカラーに変えて、演出に参加している実感が得られる。制御されてるだけでなく自分の意思でも参加したいというファン心理を嵐がよく理解した上での工夫だろう。
密集した空間で何万もあるライトを無線からランダムだったりパターンで制御するってだけでもコンサートの演出として胸が熱くなるけど、それ以上に今回私が驚いたのは心拍数や筋肉を用いた演出だ。
『Hope in the darkness』では筋肉の動きに合わせて音やエフェクトが変わる「フィジカルインターフェイス」が使われていた。メンバーは腕に筋電センサを装着して、ダンスなどの動きによって映像や照明、レーザー、ファンライトまでが操れるような仕組み。このセンサと演出の組み合わせによって嵐の感覚が拡張されて、それを音と視覚を通してファンも共有することができる。それはどんな感覚なんだろう。全く想像がつかないけどすごそう。私も体験したかった。
心拍数は、筋肉の動きみたいに演出そのものに反映はされてない。ただディスプレイに各メンバーの心拍数がリアルタイムに表示されているだけ。けど、だからこそアイドルとしてのすごさをそこに感じた。心拍数にここまで価値が生まれるなんて私には想像がつかなかった。
レポをみると、ファンが心拍数を含めて楽しんでいることがわかった。
- 開演前からディスプレイに表示されて、メンバーの緊張や興奮でどんどん数値が上がると開始の予感がする
- 講演ごとに心拍数が違う、今日はテンション高かったのかな
- 松潤が振り付けを間違えた瞬間がその講演でいちばん高かった
- 翔くんは全体的に低めで、ファンサしてても変わらない
- 相葉ちゃんはソロ曲『Disco Star』では異常に高い
- リアルタイム表示だと証明するために大野さん二宮さんでダッシュして心拍数上げてみせる
- MCで心拍数についてトーク、互いの数値を覚えてるメンバー
- メンバー2人の数値が同じになってる瞬間にときめくファン
でも、実際ただの数値を表示することでコンサートの楽しみに繋がると思う!?それを堂々とコンサートに取り入れたのがすごい。松潤いわく「自分たちをデジタル信号化した」らしい。そして結果的にファンにとってたまらなくときめけるコンテンツとして成立した。
これが本当にすごい事だと感じた。こういった生体情報を扱う研究をやろうと考えたことがあるんだけど、「生体情報を常時記録する必要はあるのか」「リアルタイムで送信するユースケースなんてあるんだろうか」ってところの想像力でつまずいてしまった。心拍数が不規則になったら何か病気か異常事態と判断するような使い方はできるけど、心拍数を計測し続けてデータを無線で送ってリアルタイムに表示するなんてシステム作っても使い道なんてない。その数値データは保存したり分析する価値があるのか。普通はそう考える。けれどそれが成立する場所があったなんて。
心拍数はそれだけをみれば2~3桁の数字が並んでるだけ。それでも、コンサートという会場で、好きなアイドルが装着してるセンサから取得していて、リアルタイム表示となれば価値が生まれる。この価値が生まれることにとても感動して、改めてアイドルってすごいなあと思った。変な話ではあるけど、私はファンでありながらも嵐がトップアイドルになったことがあまり実感できてなくて、コンサートも行ってないから評価の高さもわからなくて、それだけどこの数値に意味を持たせたことで圧倒的にすごいと思った。遥か上な存在なのはわかってるけど、敗北感を覚えた。たぶん私の勉強している分野はアイドル嵐とは完全に別モノだと思っていたんだけど、それを嵐は新しい解釈をしてコンサートに取り入れてしまうんだなあ、敵わないなあって。うまく言えないけど、トップアイドル嵐にしかできないエンターテイメントの形だと思った。
他にもコンサートに行ったファンの感想としては、センサと演出によって、ドームという広い会場で距離がありながらも嵐がそこにいることを実感できるというのが興味深かった。デジタルを通して”生”を感じさせる。嵐が今回の世界観を通して伝えたかった事なんじゃないか。
紅白見ながらやっと記事書き終えたけど、白組トリを飾る嵐かっこよすぎるー!感謝カンゲキ雨嵐のフライングー!からのGUTS!かっこいい!かわいい!涙でてきた!嵐15周年おめでとう!2014の締めくくりとして最高だったー!幸せ!
僕らだけの革命を 夢と希望のパレード 歓びへと舵をとれ
2015年も嵐の新たな挑戦を楽しみにしてます。とりあえずはDIGITALIANコンサートDVDがはやくほしい!
それでは皆様よいお年をー!
*1:システムとしてはおそらくSonyのFreFlow(フリフラ)を元にしたもので、Perfumeのコンサートなどでも用いられてきた
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