商業BL入門してみた

ブログに書くためにこれだけ読めばいいかな、という自分のラインに達したからとりあえず感想をまとめる。それほど濃い話はしないけど苦手な人は戻りましょう。

 

二次創作の軽いBLを読むことはあっても、それが単なるキャラ愛の視点で読んでいるのかBLとして読んでいるのかが自分でわからなくなったから、BLで始まりBLで終わる商業モノを読んでみようと思ったのが始まり。

二次創作だと自分の中で元々キャラクターが出来上がっていて、そのキャラが好きで色々な体験を読んでみたいという視点でBLな話も読める。けれど、BLそのものを私は楽しめるタイプなのだろうか、という疑問があった。

ってことで未知の世界を体験することにした。手始めにどうすればいいのかわからず適当に検索したら某ブログ記事に行き着いた。参考になりました。

1ヶ月経っても全然全貌がつかめないBL入門(その1) - インターネットもぐもぐ

 

私が選んだ本の基準としては

電子書籍化されている

・タイトル/表紙がくどくない

・できるだけ違う設定のストーリー

・1巻である程度完結する

最初からがっつり濡れ場のあるものを読める気がしなかったから、なんとなく独断と偏見で雰囲気の柔らかそうなタイトルと表紙のものを選んだ。手っ取り早く体験してみたくて、1巻で完結するものに絞って色々な作家さんのものを読むようにした。できるだけ設定にバリエーションをもたせたかったけど、好みの雰囲気で選んだせいかそれほど差はでなかった。

結論からいえば、BLは私の想像していたよりもかなりディープで濃ゆい世界だった。完全にナメてた。二次創作と商業ものは別モノだ。

 

以下、読んだ順に感想。 

君とパレード (Canna Comics)

君とパレード (Canna Comics)

 

 一番最初に読んだ。この作家さんはとにかく絵がかわいいからすんなり読めた。大学生(塾講師)×高校生の話。濡れ場はかなり軽めで気にならない程度。1巻完結だから話がさくさく進み、必要なものが詰まっていて読了後はスッキリした。波乱な展開のBLを読んだ後だったら物足りないかもしれないけど、恋愛の王道な展開で安心して読める。別レーベルから「パラダイス・ビュー」という続編にあたる話が出ているらしい。

 

きみのはなし、 (プラチナ文庫)

きみのはなし、 (プラチナ文庫)

 

やわらかい雰囲気が好きだった。高校からの友達の社会人×社会人の話。濡れ場なしで、両思いになるまでの心理描写が中心。途中であれ?と違和感を覚える描写や言葉があったりして話に集中できなかったのが残念。私の読解力の問題かもしれないけど。話としては、愛がじんわり染み渡る心地よさがあった。2人の間に存在する静かだけど絶対的な感情。それが恋人という形へたどり着くまでが長くて、BLならではかもしれないと思った。

 

男の子と恋 (IDコミックス gateauコミックス)

男の子と恋 (IDコミックス gateauコミックス)

 

幼馴染社会人同士の話。とはいえ社会人要素は薄く、幼馴染から急に告白されてからの戸惑いと決心の話。 すこし生々しさもあったけど、とても力のある作品。読んだ中ではいちばん同性愛への反発が印象的で、周りのキャラも巻き込んだ恋愛だった。とにかく周囲が2人の恋愛を全力で押す。正直なところ絵柄はあまり好きになれなかったけど、キャラクターの言葉が魅力的。ひとつひとつの台詞にキャラの想いが詰まっていて、不思議と元気をもらえた。恋愛で悩んでる人が読んだらずっしり心に響きそう。

 

そして春風にささやいて―タクミくんシリーズ (角川文庫―ルビー文庫)

そして春風にささやいて―タクミくんシリーズ (角川文庫―ルビー文庫)

 

シリーズ累計500万部を売り上げている長編シリーズ。初出誌が1987年2月号の「小説JUNE」って私が生まれる前だ... すごい。ドラマCDや実写映画化もされているらしい。先月完結した記念で1巻が無料配信中。

高校生の学園ラブコメで、心にトラウマを抱える主人公託生くんと、ぐいぐい引っ張る万能型帰国子女"ギイ"の話。偶然、嫌がらせ、賭け、友情、恋愛。とても王道なストーリー展開だけど思っていた以上に楽しめた。たぶんこういうベタなものが好きなんだろうな。1巻で回収されてない伏線もいくつかあるから体力があったらシリーズ続巻も読みたい。

 

同級生 (EDGE COMIX)

同級生 (EDGE COMIX)

 

シリーズ3作とも読んだ。面白い。かわいい。かっこいい。しっかり緩急がついている。キャラクターが魅力的。男子高校生って若い。先生もいい味だしてる。

この作品は何度でも読みたくなるだろうなぁ... って振り返りながら読み始めたらこの記事終わらなくなるから中断。3巻あるとキャラクターの深みが増して愛着も湧く。やっぱりこれくらい巻数のある話のほうが楽しめるかもしれない。

 

音無き世界 (SHYノベルス)

音無き世界 (SHYノベルス)

 

この本もどちらかと言えば静かなタイプの話だった。事情があって小さい頃1ヶ月共に暮らした2人が再会して恋愛関係に発展する。一応年齢差ありで、社会人×大学生。恋愛だけじゃなく、家族の話でもあった。暗い部分も多いけれど、情景や心理描写がとても素敵で話の内容ほど重さは感じなかった。 キャラクターが生き生きとしていて、日常生活からは幸せが溢れている。濡れ場は何度かあるけれど、自然な程度でストーリー展開上違和感はなし。じっくり読み返したい作品。

 

 

まとめ。

こうして感想を書いてみると、結構良作に出会えたなという気がする。漫画4冊(3シリーズ) 小説3冊読んで傾向や類似点がみえてきたのも興味深かった。面白かった点は

・高学歴とライターが多かった

きみのはなしは雑誌ライター、男の子と恋も物書き、音無き世界は映画ライター。君とパレードは京大医学部、同級生は京大薬学部、音無き世界は情報系院進学。実際BL作品にライターが多いのか、偶然か。

・突然のキスから始まる

感情を自覚する前に勝手に身体が動いて〜キス。自覚してからだとキャラがもやもやして話が進まないからキスさせて強引に進める手法が多いのかしら。

・波乱の展開/濡れ場が多い

レビューを読んで、軽くて盛り上がりの無い話と書いてあったのに読んでみると暗かったり濃かったりした。BL多く読んでいる人との感覚の違い。この濡れ場で年齢制限無しか....と思うこともしばしば。

・明言されない関係

キスしても体の関係を持っても、相手を好きと認めなかったり明言しないキャラクターが多かった。感情は完全に相手に向いていて両思いなのに、どちらかが恋愛だと自覚しなかったり相手を言葉で縛るのを避けたり。これはBLならではかもしれない。相手にいずれ女性と幸せになってもらいたいけど、今は自分といてほしい葛藤。

 

作品数はそれほど読んでいないからまだBLの全体像が全くわからない。ただ、漫画よりは小説のほうが心理的な変化がしっかり読み取れて好きかもしれない。私がBLを楽しむポイントはおそらくキャラクターを好きになれるかで、それができずに勢いで話が進んでしまうとついていけない。だから小説でそれぞれのキャラへの理解に時間をかけたほうが話全体としても楽しめるのだと思う。

いやはや、興味深い体験だった。慣れないジャンルを読み進めるのは多少気力が必要だったけど、楽しかった。しかし計9冊を読んでこれだけの感想記事を書いた私、なにやってるんだ...

 

 

以下、余談。

「BLは私にはまだ早かったかもしれない」というタイトルの記事を書きはじめたくらい、ショックの大きな漫画があった。上記にはない4冊目。どうしても受け付けなかった。描写が少なくキャラがよくわからない状態ですぐ濡れ場が始まるのは辛い。最初からあれこれして、その後にキャラ紹介。「え?まじ?」と声に出しそうになった。あと台詞なしの3ページにわたる濡れ場本当にきつかった.... きつかった....

「....私には無理だ。トラウマになるレベルかもしれない。 読んだ後あまりにも疲れきっていたから回復を期待してうたプリ曲聞いた。あまり回復しなかったガックリ... けど3曲聞いたところで元気出てきた。アイドル最強だ。

9歳のころ好奇心で『ハリー・ポッターと賢者の石』のビデオを見て想像以上の怖さにその晩眠れなかった。似たような感覚。」

なんて下書きにあるくらいの衝撃だった。BL入門途中でやめようと思った。暫くBL読みたくないと思った。2日頭休めたら他の作品読めるようになったけど。でもこれは私がBL初心者だから受け付けなかったというより、好みの問題なのかな。BL好きな人でも何でもアリというわけではなく、当たり外れがあるのだろう。